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東京都美術館
芸術都市パリの100年展 ルノワール、セザンヌ、ユトリロの生きた街 1830-1930年
フランスの首都パリは長らく文化的伝統を誇りながら、21世紀の今もなお革新と発展を続ける世界の芸術の中心地です。そのパリが世界で最も栄光ある絶頂期を築いたのは1830年代、いわゆるロマン派登場の時代から、パリ万国博覧会を経て国際的に若い芸術家を集めた1930年代、第二次大戦前の約100年間といえるでしょう。幕末に日仏修好通商条約が締結されて以来、2008年は日本とフランスが文化的、経済的にも親密な関係を保って150周年の記念の年にあたります。さらに、京都展は京都市・パリ市姉妹都市50周年にもあたります。
本展はそれらを記念し、パリをテーマとした近代フランス約100年のすぐれた油彩画、彫刻、素描、版画、写真などを、ルーヴル、オルセー、ポンピドゥー、プティ・パレ、カルナヴァレ、マルモッタン、ロダンなど世界的に著名な美術館のコレクションから、約150点を選んでご紹介します。
これらの芸術作品を通して、パリという都市の洗練された美しさ、そこに生きる男女の哀歓の姿、都市文化と自然との調和への憧憬などをテーマに、パリが生んだ芸術の独自性とその幅の広さをご覧いただきます。
クロード・モネ《テュイルリー》1876年 油彩・カンヴァス、54x73cm  マルモッタン美術館<br />
 cMusee Marmottan Monet,Paris,France/ The Bridgeman Art Library Nationality
本展の構成
1章 パリ、古きものと新しきもの-理想の都市づくり
中世からの城塞都市パリは1850-60年代、時の皇帝ナポレオン3世に命じられたセーヌ県知事
ウジェーヌ・オスマンによる大改造によって生まれ変わりました。まず城塞の破壊と市の拡大に始まり、南北幹線道路の貫通と放射状の道路拡張、貧民街の一掃と新官庁の建設、セーヌ川の橋の掛け替えと増設、上下水道の地下道建設、公園や噴水、ガス灯の配備など、そして1875年のオペラ座の完成によってメガ近代都市パリの相貌が確定しました。またパリは1900年まで5回わたる万国博覧会の開催によって数々の名建築を生み、とくにフランス革命100周年の1889年の万博時に完成したエッフェル塔は、その300mという高さと鉄骨という新素材によって世界的に有名となりました。1900年のパリ万博は、今は美術館として改築されたプティ・パレやグラン・パレ、そしてオルセー駅舎を完成させ、そして1914年にはモンマルトルの丘にサクレ・クール聖堂がそびえて、世紀をまたいだパリの変貌はここに一段落をみます。
 
このパリの新しい景観に興味を抱いた画家たち、写真家たちは数多く、セーヌ川の橋を中心に、整備されつつある河岸のパノラマをコローやレピーヌが描くことから始まって、印象主義者のモネもサン・ラザール駅や炎上したテュイルリー宮殿の跡地に出来た公園を描きました。その後のパリの新名所発見作業はピサロやシニャックを経てユトリロのモンマルトル探訪をピークに、馬車から自動車へと乗り物が移り変わる1930年代まで続きす。初期の写真家にとって画期的だったのは何よりエッフェル塔の建設でした。始めは建築段階の記録写真に止まっていた写真家たちは、塔が次第に容を現すにつれ、その感激を芸術写真として表現するようになり、霧や落雷のイメージを塔に重ね合わせて、単なる建築物ではない、パリの人格化、象徴化をこのエッフェル塔に見るようになりました。
ポール・シニャック 《ポン・デ・ザール》1928年<br />
油彩・カンヴァス、45,5x116cm カルナヴァレ美術館 cMusee Carnavalet/Roger-Viollet
2章 パリの市民生活の哀歓
19世紀後半に変化するパリの都市景観とメディアの発達は、人々の余暇や家庭生活、娯楽に趣味、感情までに影響を与え、新しい市民のための芸術を生み出しました。
 
変貌する都市空間に創作意欲を得た画家、版画家、写真家たちは市民生活の様々な場面を画題としました。石灰岩の切り出し場であったモンマルトルの丘には、19世紀中頃から若者たちの遊び場としてカフェやダンスホールができ、世紀末にはアーティストの集合地として世界的に有名になりました。ブーローニュの森はそれまでの密猟者や強盗の巣窟から、池や競馬場、動物園、植物園を備えた近代的な公園に生まれ変わっていきます。セーヌ河岸のプロムナードも整備され、1871年のパリ・コミューン騒乱で炎上したパリ市庁舎も、すぐに再建されて新しい名所となりました。印象派以来、画家たちは、英雄、偉人、また歴史の世界から、自分たちのささやかな日常や家庭、子供をモデルに選ぶようになります。なかでも画家、版画家であるオノレ・ドーミエは、1830年代から国王ルイ・フィリップをはじめ高位の政治家、裁判官をこき下ろす治風刺漫画家として当代随一の業績を残しましたが、パリ市民、労働者庶民の味方として、その人間味ある視点から市民生活の喜び、怒りをユーモラスに網羅する数多くの作品を発表しています。初期の写真家たちもスタジオ内の注文の肖像写真だけでなく、市街に出て身近な市民生活の記録再現に努めており、19世紀末のパリを偲ぶに今日ではまことに貴重なメディアとなりました。
ポール・ジェニオー<br />
《四旬節中日(ミ・カレーム)の服装をした子供》1900年頃<br />
17.8×12.6cm オルセー美術館<br />
cPhoto RMN-cRene-Gabriel Ojeda/distributed by DNPAC
3章 パリジャンとパリジェンヌ-男と女のドラマⅠ  絵画
19世紀中頃、フランスの文豪の名にふさわしいのはヴィクトル・ユゴー、アレクサンドル・デュマ、そしてオノレ・ド・バルザックであることは論を待たないでしょう。しかし自分で絵筆を持って独特の幻想的風景画を描いた作家といえば、作家ヴィクトル・ユゴー以外には考えられません。しかもユゴー
は親友だった画家ブーランジェに自作の演劇や詩をしばしば絵画化、版画化させ、視覚的にも価値創造を積極的に図った希な作家でした。
 
文学と絵画の相互影響はこの当時盛んで、画家セザンヌはフローベールの『聖アントワーヌの誘惑』から性的抑圧のテーマを暗示されたことはよく指摘されています。また小説家ユイスマンスは画家ギュスターヴ・モローの絢爛な画風によって『さかしまに』を書き上げ、耽美的な作風に転じました。また当時は花柳界や演劇界、ブルジョアまで、女性肖像画の絶頂期に当たります。その系譜はカロリュス=デュランやアモリー・デュヴァルらのアカデミックな画家から印象派の女性像の大家ルノワールを経て、20世紀のエコール・ド・パリの画家ヴァン・ドンゲンまでたどることができます。
男性肖像画では文学者、歴史家、美術家仲間などをモデルにした文化人肖像画に優れたものが多くなり、これまでの王侯貴族、政治家などの単なる権力者の肖像画は衰退の一途をたどります。
ポール・セザンヌ《聖アントワーヌの誘惑》1877年頃 油彩・カンヴァス、47x56cm オルセー美術館 cPhoto RMN - cHerve Lewandowski / distributed by DNPAC<br />
ピエール=オーギュスト・ルノワール《ボニエール夫人の肖像》1889年 油彩・カンヴァス、117x89cm プティ・パレ美術館 cPhoto RMN - cBulloz / distributed by DNPAC
4章 パリジャンとパリジェンヌ-男と女のドラマⅡ  彫刻
パリで活躍したフランス近代彫刻の三大巨匠ロダン、ブールデル、マイヨールの作品を紹介いたします。ロダンはパリに生まれ、装飾美術を学んで、19世紀中頃パリで売れていた彫刻家カリエ・ベルーズの助手から出発し、技巧から真の造形へと進む近代彫刻の父的な存在となりました。
 
ブールデルは南仏のモントーバンに生まれましたが、23歳でパリの国立美術学校に入学して以来、モンパルナス駅の近くに住み、パリの彫刻家として一生を終えました。一時ロダンの弟子となりましたが、すぐに自らの造形力で勇壮にして構築的な作風を確立し、20世紀前半のモニュメンタルな彫刻をリードしました。
 
マイヨールはブールデルと同じ1861年生まれで南仏からパリに出てきた美術学生でしたが、ゴーギャンの感化を受けてボナールらのナビ派の画家として出発、名作《地中海》で彫刻家として再デビューし、ロダンやブールデルの力感的、鋭角的な男性美とは正反対の静的で丸みを帯びた女性美中心の様式を確立しました。パリの中心、テュイルリー庭園の野外彫刻に選ばれるなどブールデル以後のフランス彫刻の第一人者となりました。ここではロダンが絶賛した初期の傑作《レダ》から晩年の代表作《アルモニー》まで4点を展示いたします。ロダン、ブールデル、マイヨールという3人の優れた個性も、パリという芸術都市の環境で磨かれてこそ完成に導かれたといえるでしょう。
5章 パリから見た田園へのあこがれ
19世紀の産業革命や都市改造によってパリは近代的な都会へと生まれ変わります。それとともに、都市文明に疎外された市民の感情は「麗しき田園」「自然と人間との調和」のイメージを求めることになります。1830年代からフォンテーヌブローの森を描いたコローの風景画や、テオドール・ルソーらバルビゾン派の画家たちの活動がその自然感情の表現といえるでしょう。そしてその後継者である1870年代からの印象派の画家たちは、セーヌ川沿いにもっと身近な郊外の魅力を発見して、パリ市民のためのリゾート感覚あふれる絵画を確立したのです。また室内装飾絵画のコンセプトも19世紀中頃に大きく変わり、それまでのギリシャ神話の神々や単なる寓意像から「自然と調和した人間の営み」がその主題となっていきます。
 
ドラクロワからシャヴァンヌ、そしてモーリス・ドニへの画風の変化がそれを端的に示しています。とくにドニはパリ郊外サンジェルマン・アン・レイの修道院を自宅とアトリエに改装し(現在モーリス・ドニ美術館)、パリの劇場や美術館の天井画大作をその緑豊かで静謐な環境において仕上げていった、まさに理想的な芸術環境を求めた画家です。また素朴派とされるアンリ・ルソーもパリの市内と市外を分ける税関の職員で、基本的に郊外の画家でした。同じくアンドレ・ボーシャンはもともと庭師であり、好んで描いた花束においても背景がほとんど田園に設定されています。都会生活の美学と田園趣味とは裏腹の関係にあることは洋の東西を問わず、現代日本でも盛んなガーデニングにそれが象徴されているでしょう。
アンリ・ルソー《粉ひき小屋》 1896年<br />
 油彩・カンヴァス 32x55cm マイヨール美術館 cMusee Maillol, Paris
展覧会概要
芸術都市パリの100年展 ルノワール、セザンヌ、ユトリロの生きた街 1830-1930年
会  場 東京都美術館
会  期 2008年4月25日(金)~7月6日(日) 月曜休室(ただし5月5日は開室)
開館時間 午前9時から午後5時まで(入場は午後4時30分まで)
観 覧 料
  当 日 前 売 団 体
一 般 1400円 1200円 1100円
学 生 1200円 1000円 900円
高校生 650円 550円 500円
65歳以上 700円 600円 550円


*料金は消費税込み。前売は4月24日まで。団体は20名以上。中学生以下は無料。
*身体障害者手帳・愛の手帳・療育手帳・精神障害者保健福祉手帳・被爆者健康手帳をお持ちの方とその付添いの者(1名まで)は無料。
*5月21日、6月18日はシルバーデーとし、65歳以上の方は無料。
*毎月第3土・日曜日は親子ふれあいデーとし、18歳未満の子を同伴する保護者(都内在住)は一般当日料金の半額。
*いずれも証明できるものをご持参ください。
*都内の小学・中学・高校生並びにこれらに準ずる者とその引率者が教育課程に基づく教育活動として観覧するときは無料。(事前承認が必要)

主  催 東京都美術館、TBS、毎日放送、毎日新聞社
協  賛 大日本印刷
後  援 外務省、フランス大使館、TBSラジオ
特別協力 パリ市、フランス国立図書館
協  力 エールフランス航空
監  修 井出洋一郎(東京純心女子大学教授)
ジャン=マーク・レリ(カルナヴァレ美術館館長)
お問い合せ TBS 展覧会ダイヤル 0570-060-060
東京都美術館 芸術都市パリの100年展 ルノワール、セザンヌ、ユトリロの生きた街 1830-1930年
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