琳派の特徴の一つとして、先達の作品に触発され、同じ題材の作品を描いている点が挙げられます。たとえば「風神雷神図屏風」の場合、宗達作品(国宝、健仁寺)を光琳が模し(重要文化財、東京国立博物館)、さらに抱一(出光美術館)、其一(東京富士美術館)が光琳の作品を模しています。これによって琳派の系譜をより具体的に辿ることができるとともに、各作家の独自性を探るといった試みも可能になります。 |
光悦作黒楽茶碗の傑作。口が外に反り、腰は丸く高台はきわめて低い。鉄色の素地に掛けられた黒い釉薬が一部筋状に削り取られたかのように見えて、驟雨を思わせる。三井家伝来。 |
蓋を山形に高く盛り上げた、光悦独特の形の硯箱。蓋の表面には「後撰和歌集」の和歌「東路の佐野の舟橋かけてのみ思ひ渡るを知る人ぞなき」の文字を散らし書きのように配す。光悦筆宗達金銀泥下絵の和歌色紙と同様、絵と書が完璧に融合している。 |
雷神が勢いよく舞い降り、風神がゆっくりと姿をあらわす。金銀泥と鮮やかな極彩色によって表現された画面は、宗達作品の基調である明るさとおおらかさに満ちている。本図には署名も印章もないが、誰もが宗達の最高傑作と認める作品である。 |
光琳が宗達画に強く心引かれていたことを最もよく示す作品。輪郭線は宗達画に驚くほど重なり、それは写し取ったと言って良いほど。画面は一回り大きくなり枠の中に収まるように描かれた。色彩が鮮やかになり、墨線は動きをもっている。 | ||
光琳が描いた扇面や団扇を金箔貼りの木箱に貼った豪華な手筥。蓋裏や底、中籠など全面に光琳得意のテーマを描いた扇面画8枚、団扇画4枚が貼られている。扇面の折れ跡から実用の後に仕立てられたもので手筥の制作にも光琳が関わっていた可能性が高い。 |
二段重ねで、上段に硯と水滴を収めた硯箱。表面には燕子花と橋を近接的に大きく描きながら、蓋表から四側面まで図様を破綻無く連続させている。八橋のモチーフを幾度となく描いて自家薬籠中のものとした光琳のような人物だけが構想しえた作品。 |
素地の上に白泥・金銀彩・染付で松が影法師のように描かれている。蓋を開けると内側には一面に白化粧の上に染付と金彩で表わした波濤文が現れる。信楽風の素地は砂浜を思わせ、器の外側と内側で海辺風景を表現したものと考えられる。乾山焼蓋物の代表作。 |
光琳の「風神雷神図屏風」の裏面に描かれた、抱一の光琳への敬慕が込められた作品。銀地を背景に雷神の裏に突然の驟雨に打たれた夏草と風神の裏に野分立つ秋草が明晰な形態をもって光琳画への返し歌を詠う。第11代将軍家斉の父、一橋治済に贈られた。 |
檜の太幹に蝉が止まり、紅葉した桜の葉がまさに水面に落ちようとしている。大画面には鮮やかな色彩の対比と水流の形態感覚に其一の個性が余す所なく発揮されている。せせらぎと蝉の鳴き声が一瞬聞こえた後に無音の凍りついた時空間があらわれる。 |
尾形光琳生誕350周年記念「大琳派展ー継承と変奏ー」 | |||||||||||||||||
会 期 | 2008年10月7日(火)~11月16日(日) | ||||||||||||||||
開館時間 | 午前9時30分~午後5時 (入館は閉館の30分前まで) ※金曜日は午後8時まで、土曜・日曜・祝日は午後6時まで開館 |
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休館日 | 月曜日 ※10月13日(月・祝)と11月3日(月・祝)は開館 ※10月14日(火)と11月4日(火)は休館 |
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会 場 | 東京国立博物館 平成館 (〒110-8712 東京都台東区上野公園13-9) |
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観 覧 料 |
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主 催 | 東京国立博物館、読売新聞社、NHK、NHKプロモーション | ||||||||||||||||
特別協賛 | |||||||||||||||||
協 賛 | 花王 | ||||||||||||||||
協 力 | 日本航空 | ||||||||||||||||
お問い合せ | ハローダイヤル 03-5777-8600 |