東京国立博物館では2007年3月20日から、レオナルド・ダ・ヴィンチの傑作「受胎告知」を中心とする特別展を開催します。
「受胎告知」はルネッサンス美術の宝庫、フィレンツェ」のウフィツィ美術館でも最も重要な作品のひとつです。その67年の生涯で、「彼が中心となって制作し、ほぼ完成させるに至った彩色絵画」はわずか十数点しか現存していません。その最初の記念碑的作品がこの度来日する「受胎告知」なのです。
まだ二十代の若き日に描かれたこの大作は、均衡のとれた構図などに早くも卓越した技量があらわれているだけでなく、彼が後に没頭していく自然への関心をいちはやく示した実験の場ともなっています。ダ・ヴィンチは「受胎告知」を出発点として、それまで人類が経験したことのない知の深淵へと歩みを進めていったのです。
本展覧会では、イタリアが誇るこの至宝をレオナルド・ダ・ヴィンチの創造世界の始まりに据え、模型や映像などを用いて、芸術と科学にわたる広範な試みのすべてを紹介していきます。500年前に生きた一人の人間が成し遂げた偉大な精神活動の記録をあますことなく概観できる、これまでにない展覧会です。
「受胎告知」(1472~73年)ウフィツィ美術館蔵
Su concessione del Ministero per i Beni e le Attività Culturali
絵画「受胎告知」は、まだ二十代のダ・ヴィンチが渾身の力を傾けて描いた作品。均衡のとれた構図に早くも卓越した技量があらわれているだけでなく、没頭していく自然への関心がいちはやく示されているなど、見どころは尽きない。
ダ・ヴィンチの創造世界を解き明かすのに欠かせないのが、30歳ごろから手帳に書きためられたメモや素描類、いわゆる「手稿」です。現在、約8千ページが世界各地で保存されていますが、この倍以上がいまだに失われているとされています。
手稿には、天文、建築、風や水の動態、動力、鳥の生態、人体の構造、人力飛行機についてなど、様々な領域に及ぶ考察のメモが書かれています。ダ・ヴィンチは、人体や自然を観察した結果を克明に描き写すだけでなく、目に見えないもの、いまだに形になっていないアイデアを視覚化する際にも素描という手段を用いました。
本展では、7メートルを超す巨大な騎馬像の制作計画や飛行機の設計など多数の手稿を見やすく描き起こし、また手稿から考証したさまざまな模型や映像を合わせて展示し、ダ・ヴィンチの思考の展開をたどります。
「ウィトルウィウス的人体:人体均衡図」のビデオより
レオナルド・ダ・ヴィンチ「集中式プランの教会堂」 (アシュバーナム手稿より。展示は複製画像) と、同手稿に基づく模型 |
レオナルド・ダ・ヴィンチ「飛行船」 (パリ手稿より。展示は複製画像) と、同手稿に基づく模型 |
レオナルド・ダ・ヴィンチ「放物線のためのコンパス」 (アトランティコ手稿より。展示は複製画像) と、同手稿に基づく模型 |
展覧会名 特別展「レオナルド・ダ・ヴィンチ ?? 天才の実像」
The Mind of Leonardo – The Universal Genius at Work
会期 2007年3月20日(火)~2007年6月17日(日)
会場 東京国立博物館本館特別5室・平成館特別展示室
開館時間 午前9時30分~午後5時
金曜日は午後8時まで、土・日曜、祝日は午後6時まで4月27日~5月6日は連日午後8時まで
(入館は閉館30分前まで)
休館日 月曜日(ただし4月30日[月・休]は開館)
主催 「イタリアの春2007」実行委員会、東京国立博物館、朝日新聞社、NHK、NHKプロモーション
※団体は20人以上
前売り券情報前売り券は各プレイガイドなどで1月10日(水)発売。
前売り券は、東京国立博物館、JR東日本の主なみどりの窓口・びゅうプラザ、JTB、サークルK、サンクス、
セブンイレブン、イーテックス、各プレイガイドなどで発売中。
※詳しいチケット情報はコチラ