国立西洋美術館では2007年3月6日から、イタリア・ルネサンス版画展を開催します。
イタリア・ルネサンスは、言うまでもなく西洋美術史のクライマックスのひとつです。画集をめくれば、有名な絵画や彫刻、建築、素描をいくつも見つけることができるでしょう。そして、このルネサンスという時期に、芸術家たちの身近なところで、美術作品としての「版画」が生まれました。版画の歴史をひもとくと、ルネサンス以前から制作されてきましたが、ルネサンス全盛の1470年頃、イタリア主要都市で美術作品としての目的を担ったエングレーヴィング(銅板)による作品が生まれました。
その代表的な版画家が、アントニオ・ポッライウォーロ、アンドレア・マンテーニャです。彼らは《格闘する裸体の男性》、《海神の闘い》のような作品を残しました。その後、1490年代頃には、美術作品としての木版画が登場し、ドイツの版画家デューラーらによって、優れた版画作品が創作されました。
このように15世紀後半から16世紀前半にかけてのイタリアでは、芸術家たちが、版画の可能性に着目し、その技法や表現の可能性を大きく広げました。こうして、それまでお守りやトランプの図柄に使われる程度だった版画技法が、美術品の制作にも使われるようになります。さらに版画によって素描を複製することが可能となったため、版画はルネサンス美術の伝播にも重要な役割を果たすことになりました。
本展では、チューリヒ工科大学版画素描コレクション所蔵の100点の版画を中心に、イタリア・ルネサンスを代表する約110点の版画作品を紹介します。ルネサンスを代表する作家が手がけた作品、ラファエッロやティツィアーノらの監督のもとに生まれた作品を通じて、イタリア・ルネサンスの版画の流れを俯瞰します。イタリア・ルネサンスの版画がまとまった形で紹介することは本展が初の試みとなります。この機会に、ルネサンス美術の新たな一面をお楽しみください。
◆会 期 : 2007年3月6日(火)~5月6日(日)
◆会 場 : 国立西洋美術館(企画展示室)
〒110-0007 東京都台東区上野公園7-7
◆開館時間 : 午前9時30分~午後5時30分(金曜日は午後8時まで)
/入館は閉館の30分前まで
◆休 館 日 : 月曜日(ただし、4月30日は開館)
◆主 催 : 国立西洋美術館、チューリヒ工科大学版画素描館、(財)西洋美術振興財団
◆後 援 : 外務省、文化庁、スイス大使館
◆助 成 : (財)東芝国際交流財団
◆協 力 : スイス インターナショナル エアラインズ
*中学生以下無料
*心身障害者とその介護者1名は無料(入館の際に障害者手帳などをご提示ください)。
*前売販売は2007年1月23日~3月5日まで。国立西洋美術館ほか、JR東日本みどりの窓口などで販売
*団体は20名以上
ハローダイヤル 03-5777-8600